

4月2日
この日私は自らの地元、福井県に降り立ちました。
とある人との約束を果たすためです。
実家からJRを乗り継ぎ、1時間半。
そこは限界集落と位置づけられる、大野市 勝原地区。
福井に産まれて初めて踏む地。
きっかけは、深夜に放送されていたドキュメンタリー。
まどろみながら、テレビを眺めていると
「福井」というキーワードに目を覚ましました。
限界集落と呼ばれる地区で
三十年以上にわたって花桃を植え続けている
一人のおばあちゃんのお話でした。
ブラウン管を通じて届けられる映像、真実。
ふるさとが直面している問題を差し出され、
聞き流すことが出来ませんでした。
自分なりにふるさとに何が出来るのか
自問自答する日々が続きました。
わたしは唯の唄うたい。
何が出来るわけもない。
そう思って何度も思い過ごそうとしてきましたが
花桃を植えるおばあちゃんの顔が頭から離れません。
いてもたってもいられず、製作を手がけた福井テレビさんに連
絡をとり、
おばあちゃんのご好意もあり、
お会いできることになったのです。
会って何ができるだろう。
ただのミーハーが冷やかしに来た。
そんな風に思われないだろうか。
片道1時間半の車中、そんな思いがぐるぐる頭の中を回ってい
ました。
勝原駅に着き、降り立ったとき、私は少々びっくりしました。
私の知っているふるさとの景色と何ら変わりはなかったからで
す。
山の空気を思いっきり全身に巡らせ、
おばあちゃんのお家へ。
おばあちゃんは笑顔で迎えてくれました。
だんなさまと猫のジミーと暮らすお部屋に入れていただき、
しばらくお話をしました。
商売っ気のないおばあちゃん。
花桃を植えるのは唯好きだから。
そう笑って答えてくれました。
おばあちゃんとの約束、それは私が勝原に来た証として、
桃の記念樹を植樹すること。
慣れない私に優しく教えてくれました。
スコップで穴を掘り、腐葉土を混ぜ、苗木を植えました。
ダンゴムシの赤ちゃんも発見♪
やっぱり私は土が好きなんだなと改めて痛感。
隣の喫茶店、「そらのあお」の近藤さんも参加して合計3本の
苗木を植えました。
その後に「そらのあお」にてミニライブをさせていただけるこ
とに。
公民館の方やご近所の方、集まっていただきました。
おばあちゃんは、人生で初めて生のライブを見た!
と喜んでくださいました。
一日に4本しかない勝原への電車。
それに乗って私はおばあちゃん達とお別れしました。
また必ず会いましょうという新たな約束を残して。